
- 長島 孝行 氏 (写真右)
- 1955年、埼玉県生れ。83年、東京農業大学大学院博士課程修了。高校、予備校、専門学校の講師を経て、現職に。農学博士。日本野蚕学会評議委員、千年持続学会設立準備委員などを務める。
※写真左は寺岸絹織株式会社の寺岸勝成氏(東京農業大学研究室にて撮影)
世界初!シルク研究の第一人者
東京農業大学農学部農学科
農学博士の長島孝行氏が開発した水溶性シルクフィブロインを食品に利用。
その驚くべき効用とは?
絹は高級織物としてのイメージが強いですが、その成分は、セリシン(20〜30%)とフィブロイン(70〜80%)の2種類のタンパク質から成りたっているのです。
この「セリシン」と「フィブロイン」には優れた機能があることが解明されてきました。寺岸絹織はこの「フィブロイン」の働きに注目、東京農業大学の長島孝行教授の協力を得て、水溶性シルクフィブロイン(シルクタンパク質)を食品に応用し、天然のシルクタンパク質を使った絹食品の商品化に世界で初めて成功しました。(注:アミノ酸由来の人工的な商品はありました。)

- 蚊が脳梗塞を治す!昆虫能力の驚異
- 長島 孝行【著】
講談社プラスアルファ新書
ISBN:9784062724500 (4062724502)
190p 18×12cm
[新書 判] NDC分類:486.1 販売価:\840(税込) (本体価:\800)
※P116にまゆの恩返し商品が掲載されています。
次代のシルク産業の担い手

- 松田道夫氏
- 東京農業大学卒業後、シルクの機能に関しての研究を重ね、現在シルク産業の発展に尽力中。
松田道夫氏
松田氏は東京農業大学卒業後も、シルクの持つ機能性で社会に貢献できないか研究を続ける、次代のシルク産業の担い手です。
2008年9月7日に富岡製糸場にて行われたシルクタンパク質入り食品のアピールを兼ねた試食会・意見交換会では、研究・交流・発表にと、地域の人達とともにシルク産業の発展に尽力していただきました。
彼はまた、研究だけではなく、実際に養蚕の体験を通じ、日本の絹の文化は絶やしてはいけない大切なものだと強く感じたそうです。そのような経験を積みながら、「安心で安全な国産のピュアなシルクパウダー・水溶性シルク溶液(タンパク質)を製造する事」が夢なのだそうです。「まゆの恩返し」はそんな松田氏の今後のシルク分野での幅広い活躍に期待しています。
※下写真は養蚕体験時の写真

絹は紫外線防止、保湿、制菌作用、
肥満・メタボリックシンドロームに有効な脂肪吸着など、
人体に有益な様々な特性を持っているのです。

- ▲繭糸断面図
- 絹の成分は、セリシン(20〜30%)とフィブロイン(70〜80%)の2種類のタンパク質から成りたっています。
セリシンはセリン、アスパラギン酸、スレオニン、グルタミン酸などの極性アミノ酸が全体の約77%を占めています。このため分解しやすく、水にも溶けやすい構造になっています。また、極性アミノ酸の中でもセリンが最も多く(約29%)、このセリンが紫外線防止・肌の保湿にとても良いとされています。(→セリシンの特徴)
一方のフィブロインはグリシン、アラニンなどの小さな無極性アミノ酸が全体の約74%を占めています。そのため結晶性が高く、分解しにくく、水に溶けにくい性質をもっています。これがシルクの強い繊維として使用される特性なのです。
しかし、長島先生の開発した水溶性シルクフィブロインは水に溶けやすく、脂肪を取り込みやすい無数の小さな孔があり、体内で脂肪を吸着し、体外に排出するというメタボリックシンドロームなどに有効な働きをします。(→フィブロインの特徴)
セリシンの特徴

セリシンとは絹糸を覆っているアミノ酸タンパク質で、人間の肌に含まれる成分、天然保湿因子NMF中のアミノ酸組成に極めて近いため、理想的な天然保湿成分として、大きく注目されています。
古くから製糸工場の従業員は冬の水仕事でも、手肌がきれいであった事実が知られています。これは溶け出した「セリシン」が素手で作業を行っている人達の皮膚ケア機能を果たしていたからです。
保湿性
絹糸からも抽出された高純度のセリシンは保湿力が非常に高いセリンが33%も含まれこのセリンの作用でセリシンはお肌への浸透性が高く大いに潤いを与えてくれます。
セリシンは肌や髪の毛に吸着性が高く、肌に浸透し肌表面だけでなく肌の奥までしっかり水分を補給し、細胞を活性化させてくれます。
抗酸化
セリシンの活性酸素の働きを抑える能力はビタミンCと同じレベルであり、シワやシミなどの皮膚の老化を防ぐ作用があるといわれています。
日焼け、皮膚病に対するさまざまな刺激、老化によるメラニン色素の成合体に関するチロシナーゼを阻害することにより、シミ、ソバカスを防ぐ効果があるとされています。つまりシミ・ソバカスなどの原因であるメラニン色素の発生を助けるチロシナーゼを阻害してくれるのです。
紫外線吸収
人体にとって最も有害とされる紫外線200〜300NMの紫外線の透過率のみが急激に下がることが分かりました。これはカイコが厳しい環境の中で生き抜こうとするうちに獲得した、生理機能からきているからなのです。
フィブロインの特徴

蚕のタンパク質を構成する70%を占めるフィブロイン。フィブロインは従来から高タンパク質低カロリーの機能性食品素材として注目を集めてきました。本来、このフィブロインは生糸の原料になってきたように、結晶性が高く、そのまま服用しても胃の中で約53%しか消化されません(難消化性で、これは食物繊維の働きなのです)。それをパウダー状まで分解したものがシルクフィブロインなのです。特に長島先生が開発した水溶性シルクフィブロインは、タンパク質レベルで絹本来の栄養素の形を維持しています。
このシルクフィブロイン、一体どのような効用があるのでしょうか?
アルコール代謝の促進・血液中のコレステロール濃度の低下
フィブロインには、アミノ酸の一つであるグリシンが、牛乳の8倍、卵では6倍もの栄養素が含まれています。これらの成分は、肝機能を整えて、アルコールの代謝促進(注1)をしたり、血中コレステロールや血糖値を低下させるのに役立ちます。
(注1)…長島先生の研究ではこの効用はまだ認められていません。
メタボリックシンドロームの予防
フィブロインは動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールのLDL-コレステロールを低下させるだけでなく、肝臓中の脂質も低下させる働きをすることが、研究の結果判明しています。また、コレステロール低下作用の高い大豆タンパク分解物よりフィブロインの方がコレステロールの吸着能力が高いことも分かっています。そしてフィブロインは、食品に応用する事で、驚くほど食感に変化をもたらす事が確認されています。そして何よりも上記の機能性を持つシルクタンパク質は、長島先生の開発した水溶性シルクフィブロインのみの特徴であり、食品素材として注目されています。







